IBDにとって重要なビタミンDについてまとめてみた

2019年7月7日

個人的にはIBD患者の方にとっては、ビタミンDはかなり注目のビタミンかと思います(私だけか?)。
なので、とりあえずまとめてみました。

今回の記事は書いている途中で心が折れそうになりました笑
結構な長さなので、お時間あるときにどうぞ。

では、スタートです。

ビタミンDとは?

・脂溶性ビタミン
・日光を浴びることで皮膚でも作られる
・ビタミンD2(主にきのこ、納豆)とビタミンD3(主に動物系)がある
・ビタミンD2とD3ではD3のほうが活性度が高い
・実はステロイド系

体内での変換

後の話に重要なので、ここでビタミンDが体内で使われるようになるまでの道のりのご紹介です。

・1. 食事からの吸収・日光による生成



・2. 肝臓で変換
 ビタミンD → 25(OH)D ※の変換

・3. 腎臓で変換
 25(OH)D → 1,25(OH)2D ※の変換



・4. ビタミンD受容体が受け取って活性化
 ビタミンD受容体が1,25(OH)2Dを受け取ってDNA転写(効果を発揮)

※ 用語
25(OH)D :25-ヒドロキシビタミンD
1,25(OH)2D:カルシトリオール

欠乏しやすい生活習慣

魚貝を食べない

魚貝系の中でも鮭には結構なビタミンD量が含まれています。
ですが、食事だけではやはり積極的に取らないと維持は難しそうに思えます。

日光を浴びる時間が少ない

ビタミンDの生成は日光でも可能ですが
室内で仕事している人なんかは、日を浴びる時間が少ない生活をしているかと…

ここに該当する方が多いのでは?
私はIT系なので明らかにこれは該当…汗

ビタミンDのメリット

免疫機能の調整が行われる

IBDは過剰な免疫機能の反応によって炎症を起こしています。
ここで過剰な免疫機能の反応を抑えるものとして
実はビタミンDが担っていることが発見されています。

2012年の論文では、炎症性サイトカイン(IL-6、 TNF-α )を抑えることが発見され(*1)、
さらに2018年の論文では、ビタミンDがIBDの改善に役立つことが示されています(*2)。
この2018年の論文はランダム化比較実験(統計的に信頼性が高い実験)の18論文をまとめたもので、かなりの信用度かと思います。

*1 https://www.jimmunol.org/content/188/5/2127
*2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30431562

免疫機能を強化する

ビタミンDは免疫機能の強化もすることがわかっています(*3)。
1,25(OH)2DがビタミンD受容体を活性化させ、抗菌ペプチド(基本的な免疫機能を担う)を増加させるそうです。

*3 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2765035/

カルシウムとリンの吸収率を上げる

ビタミンDはカルシウムとリンの吸収率を上げることがわかっています(*4)。
したがって、骨密度を上げることが示唆されています。

*4 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14594776

うつ病に効く

ランダム化比較実験(統計的に信頼性が高い実験)の15論文をまとめた論文(*5)では、800 IU/日(20μg/日)で効果があったようです。
個人的にはIBDの方はうつになりやすいと思ってますので
ビタミンDの欠乏症が発生しているのかもしれませんね。

*5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4011048/

ビタミンDのデメリット

メリットにもあったカルシウムの吸収率ですが、実はデメリットにもなっています。

過剰摂取をした場合に血管や細胞のカルシウム量を上げすぎて、高カルシウム血症となり、いろんな臓器を石灰化させてしまう(結石など)ようです(*6)

つまり、臓器すべてに悪影響を及ぶということです…

癌での死亡率が上がった例も見たことありますが、この影響が大きそうですね。

*6 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK56061/#ch3.s10

サプリメントの摂取方法

日常的に日光を浴びている方は大丈夫なように思えますので、
それ以外の方のためにサプリメントの摂取方法をご紹介します。

脂肪と一緒に摂取

ビタミンDは脂溶性のビタミンです。
したがって、食事の前後あたりで摂取すれば、吸収率がアップするかと思います。

2000 IU/日ぐらいで

文献(*7)によると最大4000 IU/日(100 μg/日)ぐらいまでなら大丈夫そうです。
ただし、8歳以下はもう少し最大量は低いようです。

また、1年以上の期間で2800 IU/日(70 μg/日)以上でも腎臓には問題なかったみたいですね(*8)。

さらに前の記事(研究)ではIBD患者には1200 IU/日(30 μg/日)以上がおすすめだったので、大人の場合は2000IU/日(50 μg/日)ぐらい(最大量の半分ぐらい)で生活習慣によって増減させれば良いかなと思います

今飲んでるビタミンD↓は2日に1回で5000IUなのでいい感じかな…

*7 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK56058/#ch6.s37
*8 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960076018304692?via%3Dihub

一緒に摂取したほうが良いもの

一緒に摂取したほうが良いと思われるものとしてはビタミンKです。
ビタミンKは骨の生成を誘導します。
したがって、ビタミンDによって体内に過剰になったカルシウムを骨に使ってくれます

また、ビタミンKについては、今のところは過剰摂取については
問題なさそう(*9)なので、サプリメントで摂取しています。

ただし、ビタミンKは腸内細菌が作ってくれたり、食事からも結構な量が摂取できそうなので、サプリメントが必須とまではいかなそうです。
基本的にはビタミンDの量に気をつければ大丈夫かなと。

*9 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK222299/#ddd00193

一緒に摂取してはいけないもの

もうお分かりかと思いますが、カルシウムのサプリメントはダメです。
ビタミンDとカルシウムのサプリメントの組み合わせはやばい…

なぜか効かない人へ

ビタミンDを摂取しても効かない場合に実は疑うべきことがあります。

Twitterで紹介されていた論文で知った話なんですが
ビタミンDを摂取しても、実はビタミンD受容体と1,25(OH)2Dの結合を阻害したり
ビタミンD受容体を非活性にさせるやつらがいるということです(*10)。

こいつら↓

・クルクミン
・オメガ6脂肪酸
・リトコール酸
・細菌
・ウィルス

オメガ6脂肪酸については、本ブログでも結構取り上げていますので納得。
リトコール酸については胆汁酸の一種なので、脂肪を大量摂取すると影響が出そう。
細菌・ウィルスについては免疫が弱っている人には非常にやっかい…

というわけで、まとめると…
オメガ6脂肪酸・過剰な脂肪を避けながら、ビタミンDを摂取(免疫強化)するのが良いでしょう。
(クルクミンは一旦は無視笑)

*10 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4160567/

まとめ

いかがだったでしょうか。
個人的にはビタミンDは摂取量に気をつけていれば
IBDにはかなりメリットがあるのではないかなと思います。
とりあえず、私はビタミンDを継続して摂取します(ビタミンKはやめるかも)。

また気になるのは「免疫抑制剤を使っている人がビタミンDを使ってもいいのか」という問題もあります(探してみたのですが、論文が見つからなかった…)。
というのもビタミンDは免疫機能を強化させてしまうので、免疫抑制剤とは逆の効果になってしまうのではないかという懸念からです。
したがって、そのあたりは主治医にご相談いただくのが良いかもしれません。